社内規程の作成・管理・運用・周知など現場運用に課題
株式会社KiteRaは2025年7月31日、「企業のGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)に関する実態調査 vol.1」を公開した。同調査により、社内規程の作成・管理・運用・周知などの現場運用で多くの課題が顕在化していることが判明した。
同調査は2025年7月8日~9日に実施され、18~65歳の全国のビジネスパーソン(就業規則などの社内規程作成・編集・管理・周知などに携わっていて、正社員として勤務している従業員(役職者含む)および経営者・役員)687名から回答を得た。
変化の速い事業環境と、育児・介護休業法をはじめとする法改正が頻繁に行われてることから、近年、企業のGRC強化が重要な経営課題となっている。
GRC実現には、全社に対して現場で守るべき基準や行動指針を明文化することが必要不可欠だ。その基盤となるのが、社内規程を整備すること、それを適切に運用することだが、頻繁な法令改正とそれに伴う社内規程の変更で、社内規程の策定・改定を担当する部門の負担が増大していると考えられる。さらに、働き方の多様性に対応するための規程の策定・改定も必要だ。
全体では56.0%、大企業では68.1%が前年度より規程業務時間が増加したと回答している。

GRCの基盤は「規程」だという視点
整備が進んでいないと判明したのは、「ハラスメント防止規程」43.2%、「内部通報規程」27.9%などだ。

「内部通報規程」は、300名以上の企業で保有が義務化されているが、301名以上の企業でも法規制への準拠に遅れがあった。法改正対応の遅れについては、全体で54.6%が法的リスクを感じていた。
また、従業員が自ら規程を参照できる環境は、41.6%が整っていないと回答した。実効性のある規程にするために必要な周知が十分でないことが判明している。こういった対応の遅れは、従業員の信頼や社会的信用の低下、企業イメージの悪化を招きかねない。
構造的な課題としては、現場の課題や負担感が経営層と共有されていないことが挙げられる。全社的な意識・体制変革のためには、経営層が現場の声を把握することに加え、DXの運用が今後一層重要になってくる。
管理体制強化策として現場から高い期待を寄せられているDXの導入については、利便性の向上と社内規程整備の効率化のために、法令対応のみならず過半数代表者の選任(過半数組合がある企業を除く)から、規程の周知・浸透までをサポート可能なサービスを選択するとより効果的だ。
人材の流動化や労働人口の減少などが深刻化する2025年問題に対応しつつ、ガバナンス・リスク管理・コンプライアンスを高い水準で維持しながら、現場の負担を軽減することは容易ではない。同社では、「規程」がGRCの基盤であるという視点がより重要になってくると結論づけた。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
株式会社KiteRaのプレスリリース
https://kitera-cloud.jp/news/20250731pressrelease/?product=