東洋証券、AIエージェントによる証券業務DXの検討を開始

AI・テクノロジー・DX

トレードワークスのソリューションにより業務高度化と持続可能な証券事業モデル実現へ

東洋証券株式会社(以下、東洋証券)はこのほど、株式会社トレードワークス(以下、トレードワークス)とともに生成AI、中でも「AIエージェント」を活用した証券業務のDXに関する実用化に向けた検討を開始したことを明らかにした。5日、トレードワークスが発表している。

今回の実証実験は、AIエージェントによる業務の高度化と、証券業界における深刻な人材不足への対応を通じ、持続可能な証券事業モデルの実現を目指すことが目的。トレードワークスのAIやセキュリティ、ブロックチェーン領野で磨かれた先端技術の知見と、東洋証券が持つ豊富な業務知見を組み合わせることにより、業界の次世代業務モデル構築を図る。

近年証券業界では、人口減少等に伴う慢性的な人材不足が深刻化し、とくに専門性の高い業務を担う人材の確保が困難となっている。同時に金融商品の多様化や規制要件の複雑化、顧客ニーズの高度化・多様化が進み、業務負荷は年々増加の一途をたどっているという。

こうした環境下ゆえ、生成AIの自律的な判断・実行能力を持つ「AIエージェント」の活用が注目されるようになった。AIエージェントは単純な自動化を超え、複雑な業務プロセスの理解と実行が可能なことから、人材不足の根本的解決策として機能することが期待されている。

生成AI「AIエージェント」を活用 東洋証券との生成AI「AIエージェント」を活用した証券業務DXに関する実用化に向けた検討を開始 業務の高度化と持続可能な証券事業モデルの実現を目指す

多様な角度から導入効果を検証

今回の実証実験では、複数の業務領域・角度から、AIエージェントの導入効果の検証が行われる。

顧客対応では、顧客からの要請に対し、AIエージェントが段階的・的確性を持って対応、必要に応じて人間の専門家にエスカレーションする仕組みを構築してサポートする実証研究を行う。

分析面では、市場データの収集・分析からレポート作成まで、AIエージェントに一連のプロセスを自律実行させ、アナリストの業務負荷を大幅に軽減させる。

コンプライアンス領域では、取引内容や顧客情報の適切性をAIエージェントがリアルタイムで監視、規制違反リスクを事前に検知し、防止する仕組みとする。

さらにバックオフィス業務の省力化を図るため、取引決済や口座管理、各種書類作成などの定型業務をAIエージェントで処理し、人的リソースはより付加価値の高い業務に集中させられるようにする。

「AIエージェントサービス」は、単純なルールベースの処理を超え、状況に応じた判断・意思決定を実行し複雑な業務プロセスを人間同様に遂行する高度な自律処理能力を発揮する。顧客対応からバックオフィス業務まで、証券業務の幅広い領域に対し、柔軟に適用可能な汎用性も有している。

熟練者の退職や新規採用の困難さに対し、即座に業務遂行能力を補完し即応、事業継続性確保にも寄与する。業務実行を通じて蓄積されるデータから継続的に学習し、処理速度と効率性を自動的に向上させていく力も持つ。

これらから、従来人手に依存していた業務の自動化により業務効率の大幅な向上が見込めるほか、限られた人的リソースでも高い業務遂行能力を維持できる人材不足への対応力強化、24時間365日の対応体制と一貫した高品質なサービスにより顧客サービスの質の向上の実現、人材市場の変動に左右されない持続可能な安定した業務運営体制の確立などが導入効果として期待されている。

東洋証券とトレードワークスでは、今回の実証実験を通じて得られた知見をもとに、AIエージェント機能のさらなる拡張を図って証券業界全体のデジタル化と持続可能性の向上につなげたい考えだ。人材不足問題解決と業務高度化の両立に向け、取り組みが注目される。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

株式会社トレードワークス プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000117557.html

生産性DX編集部

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