「因果AI」で1on1革命を
株式会社hootfolio(以下、hootfolio)、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)、明治大学商学部加藤拓巳准教授らは10日、共同研究により従業員エンゲージメントの向上に効果的な「1on1ミーティング」のあり方を科学的に解明したと発表した。
因果AI「causal analysis(R)」を用いてデータから取り組むべき要因を特定し、実際にABテストを行って人事施策の改善効果を実証したもの。人的資本経営における科学的アプローチの成果を示した先進事例として注目される。なお、この研究成果は学術誌「Strategic HR Review」に掲載された。
人的資本経営の重要性が高まる中、多くの企業が従業員エンゲージメント施策に重点を置き、1on1ミーティングの導入を行うようにもなった。
一方で「1on1疲れ」や効果実感の薄さに課題を感じる向きも強まっており、形式的な運用にとどまっているケースも少なくない。
そこでhootfolio、CTC、明治大学商学部加藤拓巳准教授の3者は、従業員アンケートなどのデータを因果AIで解析し、エンゲージメントを高める要因と、1on1満足度を高める具体的条件を明らかにすることを試みた。

対話の質を可視化
共同研究では、まずCTCのエンタープライズ事業グループで因果AI「causal analysis(R)」を用い、従業員エンゲージメントを左右する要因を探索した。すると最も大きな影響を与えているのは「1on1ミーティングの質」であることが浮き彫りとなった。
そこで「どのような1on1が満足度を高めるのか」を分析、するとマネージャーによる傾聴や共感、相談内容への実行力ある対応、会話トピックとしての仕事内容やキャリア開発、雑談といった要素は正の効果が確認された。
反対にプライベートな話題は満足度を下げる傾向が見られ、負の効果となったという。
分析から得た示唆をもとに、研究グループでは「1on1トークスクリプト」を作成、営業現場などで成果を上げてきたトーク構造化手法を応用し、マネージャーが自然に、かつ効果的に対話できるよう支援するフレームを構築した。
さらにスクリプトを活用したマネージャー群と、スクリプト未導入のマネージャー群で、1on1の実施に関し比較するABテストを実施、その結果、スクリプト活用群の部下において、1on1満足度が統計的有意に向上することが確認できた。
今回の取り組みでは、因果分析による科学的知見をもとに実際のマネジメント施策として実装し、効果を実証できた点が大きい。これまで属人的に行われてきた1on1を、データドリブンかつ再現性ある改善サイクルへと転換した取り組みとして注目されるだろう。3者は人的資本経営の新たな可能性を示すものとしてその未来性を強調した。
因果AIとは
因果AI「causal analysis(R)」は、日本電気株式会社(NEC)の研究所で開発された独自のAI技術により、従来の分析では見えづらかった「原因と結果」の関係性を膨大なデータの中から抽出・可視化するAIソリューション。
統計の専門知識をもたずとも、直感的に使えるインターフェースの採用により、何が成果を生むのかという問いへの答えを見出し、ビジネスの次のアクションを科学的に導けるとする。
高速・高精度・ノーコードという特色を有し、昨今は従業員エンゲージメントを高めるための要因分析など、人事領域でも活用が広がってきている。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
株式会社hootfolio プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000154987.html
