法定雇用率2.7%の達成、半数以上が「困難」

人事・採用最新動向

パーソルダイバースが障がい者採用の実態を調査

障がい者雇用支援事業を展開するパーソルダイバース株式会社(以下、パーソルダイバース)は12月2日、企業の障がい者採用担当者を対象とした「企業の障がい者採用に関する実態・意識調査」を実施し、その結果をとりまとめて公開した。

法定雇用率2.7%への引き上げや障がい者労働市場の変化を背景に、量の確保と質の向上の両立を求める動きが課題とともに明らかになっている。

調査は2025年10月17日~10月24日の期間、dodaチャレンジに登録する企業の障がい者採用担当者501人を対象に、インターネット・アンケート方式で行われた。

まず2026年7月に引き上げが見込まれている法定雇用率2.7%の達成について、見通しがどうかを尋ねると、「達成は困難」が19.2%、「達成はやや困難」が33.4%で、合計52.6%と過半の企業が達成が難しいと見込んでいた。「達成見込み」は26.2%、「既に達成」は21.2%となっている。

一方で、障がい者採用の今後の意向を尋ねた結果では、「拡大したい」が35.3%、「できれば拡大したい」が40.5%と合計75.8%が拡大意向を示し、「拡大は難しい」は18.8%、「拡大しない・拡大する予定はない」は5.4%にとどまった。

多くの企業が社員数の増加に加え、採用対象の拡大や配属先の多様化など、採用の幅を広げる意向を示したという。法定雇用率の上昇やろ同市場の変化を受け、障がい者採用に積極的となっている様子がうかがわれる。

企業の障害者採用に関する実態・意識調査

求める人材は「安定・定着志向」、障がい者とはズレ

企業が障がい者人材に求める志向を調査したところ、最も高かったのは「安定・定着志向の人材」の45.7%だった。次いで高いのは「バランス志向の人材」の36.0%で、「成長・活躍志向の人材」は18.3%にとどまっている。

これに対し、パーソルダイバースが今年5月、働く障がい者を対象に行った就業実態と意識の調査結果によると、「成長・活躍志向」を持つ障がい者は38.1%と高く、「安定・定着志向」の37.8%を上回っていた。「バランス志向」も24.2%となっている。

これらから、企業と障がいのある人では、志向性にギャップがあることが判明した。

障がい者採用にあたり実施している取り組みプロセスでは、求職者への取り組みで「任せたい業務内容や役割の、具体的な決定・明示」を実施しているとした企業が61.1%と高い割合を占めた。

次いで高いのは「会社の理念、社風、社員の様子などの積極的な説明・発信」の37.1%で、「将来のキャリアパスや昇給・昇格・異動の可能性についての説明」は25.9%、「本人の希望や適性に応じた成長支援制度の提示」は18.4%とやや低かった。

採用活動の連携面では、「配属先事業部との連携」が52.3%で行われているほか、「支援機関や人材紹介業者などと、外部機関と採用活動に関しての積極的な連携」が54.7%で行われ、連携実施割合は高めであることが分かる。

社内体制整備面では、「配属先に対する事前の説明」を実施しているのは42.7%と比較的高く、「在宅勤務などの勤務場所や、勤務時間、通勤の配慮などのはたらきやすさの整備」も36.7%で実施されていた。

全体として、採用活動に直結した取り組みは広く行われるようになってきているものの、採用後の成長や活躍までを見越した動きにはつながっていない様子が浮かび上がった。

企業側からも、「キャリア成長や能力に応じた処遇の見直し、昇格などが今後の課題」、「個々に合わせたキャリアプランが必要」といった声が寄せられたという。

今後は雇用の量的拡大に加え、社員の成長・活躍を通じて事業貢献につなげていける「質の向上」に取り組んでいく必要が高まっていくだろう。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

パーソルダイバース株式会社 プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000082189.html

生産性DX編集部

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