自治体職員の人事課題は心身健康管理がトップ

人事・採用最新動向

日本能率協会が全国の自治体人事部門に調査

一般社団法人日本能率協会は10月1日、地方自治体の政策管理、人事管理育成、組織管理、歳出適正化の現状と課題を明らかにするため、全国の自治体人事部門を対象とする「第2回政策形成力・人材育成に関する調査」を実施し、その結果を公開した。

調査期間は2024年12月20日~2025年3月10日、全国の都道府県、市区町村人事部門1,788団体に対し郵送Excel調査法で実施し、259自治体から回答を得ている(回答率14.5%)。

地方自治体職員に求められる能力・資質に関する不足度と今後の重要項目に関する調査では、不足する能力と資質で1位が「国際力」の67.6%、2位が「IT活用力」の51.0%、3位に「成果志向・経営感覚」の47.5%などとなった。4位には「主体性・挑戦力」の41.7%、5位に「OJT・部下育成力」の40.2%がランクインしている。

2016年に行われた前回調査と比較すると、トップは「国際力」で変わらないが、2位の「IT活用力」は前回18位からの飛躍的アップになっている。5位の「OJT・部下育成力」も8位から3つ順位を上げた。多様化する行政需要対応と人材不足からDXやAI活用の必要性、若手職員の育成・離職防止への指導力向上の重要性が増しているとみられる。

今後の重要項目でも、1位に「IT活用力」が49.4%で挙がり、前回16位からの大幅ジャンプアップになった。2位は「住民・庁内・関係者との協働力・調整力」の45.6%、3位が「企画力」の44.8%、4位は「主体性・挑戦力」の43.2%、5位は「組織マネジメント力」の42.9%だった。

地方自治体職員の能力・資質の不足度・重要度の上位項目

人事管理マネジメント導入が進み効果が現れている面も

地方自治体の組織・人事領域における課題のトップは「職員の心身の健康管理(ハラスメント、メンタルヘルス含む)」で68.7%となった。人口規模が小さくなるほどその課題感は高く、人口10万人以上の自治体では56.1%だったが、1~10万人規模では72.3%に、1万人未満の自治体では75.0%にのぼった。

2位は「優秀人材の確保」の32.4%、3位に「労働時間の適正管理・削減」の30.9%、4位には「若手職員・優秀職員のリテンション(定着・離職防止)」の29.7%が入った。5位は「人事・評価・処遇制度の見直し、定着」の25.1%となっている。

組織・人事領域の課題 上位項目と人口規模別の特徴

人口10万人以上の自治体では、優秀人材の確保をはじめ、業務・マネジメントの質向上にかかる課題への意識が高い。一方、1万人未満の自治体では、心身健康管理や労働時間の削減、効果的な組織体制設計などが高くなり、人材不足下への対応が強く迫られていた。

地方自治体の経営の質向上に資する制度では、人事管理面で「FA制度」が3.5%の導入率、機能度は100.0%となったほか、「プロジェクト期間等の仕事の区切りを踏まえた在任期間設定」が導入率21.6%、機能度100.0%になった。また「20~30代の定期的な人事異動」は83.4%で導入率が高く、機能度も96.3%となっている。

制作管理・人事管理、組織風土面の強度の導入率と機能度

いずれも前回調査時から上昇し、制度導入・運用が進んでいることが確認された。導入率が決して高くはない制度において、機能度が高くなっている点も特筆され、それぞれの組織課題にあわせた仕組み構築と運用努力の結果がうかがわれるとも分析された。

出典:「第2回 政策形成力・人材育成に関する調査」(一般社団法人日本能率協会)
(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

一般社団法人日本能率協会 プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000198.000016501.html

生産性DX編集部

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