福利厚生に関する企業の実態調査
株式会社帝国データバンクは、「福利厚生に関する企業の実態調査」を実施し、10月23日に調査結果を発表した。
全国の25,546社(有効回答数:10,554社)を対象に、2025年9月16日から9月30日にかけてインターネットにより行われた。
同調査によると、法定福利を除く福利厚生の充実を予定している企業は47.6%にのぼった。特に「内容・金額の両方を充実させる予定」とした企業が25.6%と多く、採用活動や従業員の定着率向上を目的とした取り組みが広がっている。
業界別では、2024年問題などで人手不足が深刻な「建設」(58.7%)や「運輸・倉庫」(55.1%)が高い割合を示した。企業からは「社員だけでなく家族も対象にした補助を検討している」、「エンゲージメント向上のため福利厚生は重要」といった声が寄せられた。
一方で、「予定はない」と回答した企業は30.6%となった。コメントからも「拡充させたいが原資の確保が難しい」「賃上げの方が優先」といった課題が浮き彫りとなった。規模別では「大企業」が57.9%と全体を上回る一方、「小規模企業」は38.5%にとどまり、企業規模による格差が明らかとなった。

従来型が主流、働き方改革関連などは導入率は低め
現在取り入れている福利厚生では、「通勤手当」(85.5%)や「慶弔休暇」(85.4%)、「退職金」(76.0%)など、従来型の制度が上位を占めた。
一方、「短時間勤務」(37.5%)や「在宅勤務」(28.5%)など働き方改革関連の制度や、「人間ドック」(36.6%)、「メンタルヘルス相談」(28.1%)など健康支援に関する制度の導入率は低めの傾向が見られる。

今後取り入れたい福利厚生としては、「社員旅行の実施・補助」と「フレックスタイム」がともに11.4%でトップ。コロナ禍で失われた社員同士の交流を取り戻す動きや、多様な働き方への対応が背景にある。
また、「人間ドック」「育児・介護に関する補助」「奨学金返還支援制度」なども1割前後の企業が導入を検討している。
中小企業では導入率が低い制度も多いが、今後取り入れたいと考える「中小企業」の割合は49.4%と「大企業」(47.6%)を上回った。導入が進んでいない分、意欲は高く、制度設計や運用にかかるコスト負担を軽減する支援策の整備が求められている。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
帝国データバンク プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001172.000043465.html
      