採用担当者の約9割が新たな手法を渇望、採用マーケ領域への投資が加速

人事・採用最新動向

人を採るから人が集まる仕組み構築へ

株式会社TalentXは23日、中途採用に関わる人事担当者を対象とした「採用マーケティングに関する実態調査」を実施し、その結果をとりまとめて公開した。

日本では労働人口が減少する中、企業の人材獲得が激化している。その中で採用においては、人を採る手法から人が集まる仕組みを構築するマーケティングの視点が求められるようになってきているという。

「採用マーケティング」は、AIやテクノロジーとマーケティング戦略を駆使し、採用候補者に対する自社の認知獲得から興味喚起、応募獲得、採用までアプローチしていく実践的アクションのことで、欧米では2013年頃から普及、かつての人材紹介や求人広告といった外部依存のスタイルではない企業独自の採用力を高める動きが広がってきているとされる。

今回のアンケートでは、そうした中、日本国内の動きはどうかが調査された。調査期間は2025年9月18日~9月19日、従業員数500人以上の企業で働く中途採用に関わる人事担当者が対象で、有効回答数は219だった。

まず、求人広告や人材紹介以外の新たな採用手法の必要性を尋ねると、必要性を「強く感じる」が39.7%、「やや感じる」は47.5%で、合計87.2%の人が従来の採用チャネル以外の手法を求めていた。

現在の採用活動で、実施している手法を調べたところ、求人広告媒体は「実施している」との回答が76.7%で最も高かった。リファラル採用制度化と実施が58.4%の実施で、26.5%は今後の導入を検討していた。

人材紹介は実施中が58.4%、SNSや動画を用いた手法は47.9%で実施されており、ダイレクトスカウトはこれに次ぐ46.6%だった。採用オウンドメディア運用は、「実施している」が43.4%だったが、「今後検討している」ケースが30.1%と比較的多い。

アルムナイ採用の実施については、実施しているのは42.0%で、「今後検討」は36.1%にのぼった。ウェビナーやスカウトイベントなどイベントでの候補者接点施策は実施済みが40.2%、自社タレントプール構築による過去応募者や辞退者へのアプローチは実施しているケースが31.5%、検討しているケースが同じく31.5%となっている。

口コミサイトでの情報発信や対応は、実施しているケースが30.1%にとどまった一方、検討しているケースは36.5%と高い傾向になった。

リファラル採用やSNS・動画利用、採用オウンドメディア運用、アルムナイ採用の実施といった項目は、採用マーケティング領域の手法に該当するが、これらの実施割合は確実に伸びてきている。

採用活動における実施手法の割合を示した棒グラフ。最も多いのは求人広告媒体(76.7%)で、次いでリファラル採用制度化と実施(58.4%)、人材紹介・ヘッドハンティング(58.4%)、SNSや動画(47.9%)などが続く。n=219、複数回答。

予算を増やした採用ツールやサービスで採用マーケ領域が上位に

現在利用している採用ツールやサービスのうち、前年比で予算の増減がどうなっているかを尋ねたところ、「RPO(採用代行サービス)」で予算増加とした人が54.4%で最も多く、次いで「採用MAサービス」の51.2%における増加、「動画作成サービス」も増加が49.2%となった。

「オウンドメディア作成ツール」は増加が48.4%、「ATS(採用管理サービス)」で増加が47.9%だった。「エンゲージメント測定ツール」は増加が46.3%で、「オンライン面接/アセスメントツール」は増加が41.0%、「アルムナイネットワーク構築サービス」は増加が38.6%、「リファラル採用サービス」では増加ケースが35.8%となっていた。

「採用MAサービス」や「動画作成サービス」、「オウンドメディア作成ツール」、「ATS」といった採用マーケティング領域に該当するものが上位に挙がってきていると分かる。また「RPO」で増加が最も多くなっていたことからは、ツール活用と専門人材の掛け合わせニーズの高まりも今後の傾向として予測された。

採用マーケティングの知識やスキルを持つ人材確保の強化について、必要性を感じているかどうか尋ねたところ、「強く感じる」が43.4%、「やや感じる」が44.3%となり、合計すると実に全体の87.7%、約9割の人が必要性を感じていた。採用マーケティングを推進する上で、その専門知やスキルを有する人材を強化したい意向が強まってきている。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

株式会社TalentX プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000174.000036924.html

生産性DX編集部

生産性DX編集部は、生産性向上に向けたDX活用の知見を、わかりやすく発信しています。経営や組織、働き方、テクノロジーまで幅広く取り上げ、生産性向上に取り組むすべての人に、中立的な視点で考えるきっかけや実践のヒントをお届けします。

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