AWSとは、インターネット経由でサーバーやデータ保存、システム開発などを利用できるクラウドサービスです。近年は企業だけではなく、行政や個人開発でも活用が広がっています。
本記事では、AWSで「何ができるのか」を軸に、物理サーバーとの違い、メリット・デメリットまでを初心者にもわかりやすく解説します。
目次
AWSとは

AWSとは、Amazonが提供するクラウドサービスの総称で、正式名称はAmazon Web Servicesです。
インターネットを通じて、サーバーやストレージ、データベースなどのIT機能を必要な分だけ利用できる仕組みを提供しています。クラウドコンピューティングを基盤としており、自社で設備を保有・管理する必要がありません。
AWSは2006年にサービスを開始し、現在では200以上(※執筆時点)の多様なサービスを展開しています。長い運用実績と継続的なサービス拡充により、世界で最も利用されているクラウドサービスとして高いシェアを占めています。
Microsoft AzureやGoogle Cloudと並ぶ主要クラウドの中でも、先行して市場を牽引してきました。
シナジーリサーチグループ社『クラウド市場シェアの動向 – 大手3社が合わせて63%を占め、オラクルとネオクラウドがわずかにシェアを拡大』
物理サーバー(オンプレミス)との違い

AWSと物理サーバー(オンプレミス)の最大の違いは、IT設備を自社で保有・管理するかどうかにあります。従来はサーバー機器を購入し、社内に設置して運用するオンプレミスが一般的でしたが、クラウドの登場により状況は大きく変わりました。
AWSのようなクラウドサービスでは、インターネット経由でサーバーやソフトウェアを利用でき、機器の購入や設置スペース、納期を待つ必要がありません。その結果、初期コストを抑えつつ、必要なITリソースを迅速に使えるようになりました。
一方、オンプレミスは自社管理による安心感がある反面、導入や運用にかかる負担が大きくなりやすい点が特徴です。
AWSでできること(代表的なサービス例)

AWSでは、複数のクラウドサービスを組み合わせることで、インフラ構築から業務改善まで幅広い用途に対応できます。ここでは、AWSで実現できることを、代表的なサービス例とあわせて紹介します。
1.サーバー・Webサイトの構築と運用
AWSでは、業務用サーバーやWebサイトをクラウド上に構築し、柔軟に運用できます。物理機器の購入や設置は不要で、必要なときに必要な性能のサーバーを利用できます。アクセス増減にも対応しやすく、安定したWebサービス運用が可能です。
【代表的なサービス例】
・Amazon EC2:仮想サーバーを構築・運用
・Amazon Lightsail:小規模なWebサイト向けの簡易サーバー
2.データの保管・バックアップ
AWSはデータを安全に保管し、バックアップ用途にも活用できます。サーバーを停止してもデータは保持されるため、運用コストを抑えながらデータ管理が可能です。災害対策やアーカイブ用途にも適しています。
【代表的なサービス例】
・Amazon S3:データ保管・バックアップ
・Amazon EBS:サーバー向けストレージ
3.データベースの構築・管理
クラウド上でデータベースを利用でき、運用負担を軽減できます。バックアップやアップデートなどの管理作業を一部サービス側に任せられるため、業務効率化につながります。新規構築だけではなく、既存DBの移行にも対応しやすい点が特徴です。
【代表的なサービス例】
・Amazon RDS:リレーショナルデータベース
・Amazon DynamoDB:高速なNoSQLデータベース
4.テレワーク向けの業務環境整備
場所を選ばず同じ作業環境を利用できる仕組みを構築できます。作業環境はクラウド上にあり、端末側にデータを残さない運用も可能なため、テレワーク時の情報管理にも役立ちます。
【代表的なサービス例】
・Amazon WorkSpaces:仮想デスクトップ環境
5.データ分析・可視化による業務改善
蓄積したデータを分析・可視化し、意思決定に活用できます。CSVや業務データをもとに分析環境を構築でき、現場や経営の判断材料として役立てられます。
【代表的なサービス例】
・Amazon Quick Sight:BI・データ可視化
・Amazon Redshift:データ分析基盤
6.AI・機械学習の活用
AIや機械学習を業務に取り入れ、新たな価値創出につなげられます。画像解析や文章解析などを比較的手軽に試せるため、専門知識が限られていても活用を検討しやすい点が特徴です。
【代表的なサービス例】
・Amazon Rekognition:画像・動画解析
・Amazon Comprehend:文章解析
AWSを利用する主なメリット

AWSを利用することで、従来の物理サーバー運用では課題となりがちなコストや管理負担を軽減できます。ここではAWSが多くの企業に選ばれている主なメリットを解説します。
初期費用を抑え、無駄の少ないコスト運用ができる
AWSは、サーバーや関連機器を購入する必要がなく、初期費用を抑えて導入できる点が大きなメリットです。利用料金は従量課金が基本となるため、使った分だけ支払う仕組みになっており、固定費が発生しにくくなります。
オンプレミスのようにピーク時を想定した過剰な設備投資が不要となり、ITコストを事業規模や利用状況に合わせて柔軟に調整できます。
高いセキュリティ環境を維持しやすい
AWSでは、常に最新のセキュリティ対策が施された環境を利用できる点も強みです。第三者機関による認証を取得した基盤上でサービスが提供されており、セキュリティ水準は継続的に更新されています。
利用者自身が個別にアップデート対応を行う必要がないため、管理負担を抑えながら、一定水準以上の安全性を確保しやすくなります。
必要に応じてリソースを柔軟に拡張できる
AWSは、CPUやメモリ、ストレージなどのITリソースを簡単かつ迅速に変更できる点が特徴です。
利用状況に合わせて拡張・縮小ができるため、繁忙期と閑散期でリソースを使い分けることも可能です。これにより、リソース不足による機会損失を防ぎつつ、常に最適な状態でシステムを運用できます。
管理・運用の負担を軽減できる
物理サーバーでは、機器の保守やソフトウェア更新などに多くの工数がかかりますが、AWSではインフラ基盤の管理をサービス側に任せられるため、管理者の負担が大きく軽減されます。
その分、社内の人的リソースを本来注力すべき業務やシステム活用に振り向けることができ、生産性向上につながります。
環境構築までのスピードが速い
AWSは、ハードウェア調達や設置を待つ必要がなく、必要な環境をすぐに利用開始できる点もメリットです。構築や変更にかかる時間を短縮できるため、ビジネスの立ち上げや施策の実行スピードを高められます。
結果として、市場や業務の変化に柔軟に対応しやすいIT基盤を実現できます。
AWSを利用するデメリット

AWSは多くのメリットがある一方で、導入前に理解しておくべき注意点も存在します。ここでは、コスト面や運用面を中心に、AWSの代表的なデメリットを解説します。
利用料金が変動し、コスト管理が難しくなる場合がある
AWSは従量課金制のため、利用状況によって毎月の費用が変動する点がデメリットになります。定額制と異なり、使った分だけ支払う仕組みは無駄を抑えやすい一方で、利用が増えると想定以上のコストがかかることもあります。
料金はドルベースで算出されるため、為替レートの影響を受け、円換算時の金額が変動する可能性もあります。予算管理を行う際は、一定の余裕を持たせた計画が必要です。
サービス選定・運用には知識と障害時の備えが求められる
AWSは多機能な反面、多くのサービスの中から目的に合ったものを選び、構成や運用を設計するための知識が必要です。インフラ環境自体は提供されますが、設定や管理は利用者側の役割となります。
また、高い可用性を備えているものの、メンテナンスや障害が完全にゼロではありません。重要なシステムでは、影響を想定した代替手段や対応方針を事前に検討しておくことが重要です。
利用開始時にクレジットカード登録が必要になる
AWSでは、アカウント作成時にクレジットカードの登録が必須となっています。
個人利用では大きな問題になりにくいものの、企業利用の場合、社内規程や経理処理の面で課題になるケースもあります。
AWS導入で性能課題を解決した行政サービスの成功事例

経済産業省が提供する法人情報検索データベース「gBizINFO」では、検索性能や可用性に課題を抱えていました。そこで基盤にAWSを採用し、グラフデータベースのAmazon NeptuneやAmazon Auroraへ移行したのです。
SPARQLクエリの最適化により、法人名検索のレスポンスを大幅に短縮し、信頼性・拡張性も向上しました。これにより、オープンデータの利活用を促進する基盤としての価値を高めています。
AWSとは企業のIT活用を支える基盤

AWSは、サーバー構築やデータ管理、分析・AI活用まで幅広いIT活用を支えるクラウド基盤です。特徴やメリット・注意点を理解しておくことで、自社の業務や課題にAWSをどう活かせるかを判断しやすくなります。
まずは全体像を押さえ、IT活用の選択肢として捉えることが重要です。
