労働時間は改善、意欲・文化は「横ばい」や「差の拡大」
全国社会保険労務士会連合会社会保険労務士総合研究機構(以下、社労士総研)は、働き方改革が企業の労働意欲・労働時間・職場文化に与えた影響について、全国の社労士690人を対象に調査を実施し、2026年3月6日に発表した。
調査期間は2026年1月27日~2月9日。社労士が日々の実務で見ている“現場の実態”を集約した調査結果で、制度導入後の企業の変化と課題が浮き彫りとなった。
同調査では、働き方改革の中心である労働時間の改善が明確に表れた。社労士総研は、法改正対応が浸透したことで「残業抑制につながっている」と指摘し、関与先企業でも調査資料によると、「労働時間が減った企業が多い」との回答は45.5%だった。
一方で、年次有給休暇の取得も進み、「ワークライフバランスが改善した」との回答が47.0%に達した。
しかし、労働意欲やエンゲージメントについては「変わらない企業が多い(38.8%)」が最多で、「判断できない」も34.2%と高い。調査資料は「労働時間削減だけでは意欲向上につながりにくい」と分析している。職場文化についても同様で、「変わらない企業が多い(35.1%)」が最多。
影響に差が出る要因として最も多かったのは「経営者の方針・覚悟(62.5%)」、次いで「人手不足・繁閑差(51.4%)」であり、制度そのものよりも、経営者の姿勢や現場の体制といった“運用面”が結果を大きく左右している実態が示された。

効果と課題が浮き彫りに、悪循環を防ぐ鍵とは
プラス面としては、「長時間労働が“当たり前”でなくなった」「ムダな業務の見直しが進んだ」など、組織文化の前進が確認された。一方で課題も顕著で、「勤怠管理の負荷増」「休暇は進むが業務が回らない」「残業減による手取り減」など、制度導入の副作用が浮き彫りとなった。
社労士総研は、働き方改革を「労働時間削減」だけで捉えると悪循環に陥る可能性を指摘し、「制度・生産性向上・対話による納得感」が不可欠だと強調している。
働き方改革の成果と課題が企業ごとに大きく分かれる現状が示された今回の調査。制度を整えるだけでなく、現場の対話や運用力をどう高めるかが、今後の企業の競争力を左右しそうだ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
全国社会保険労務士会連合会 プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000046026.html
【社労士総研調べ】調査結果
https://www.shakaihokenroumushi.jp/
