奈良市、AI専門部署設置から1年 業務効率化と市民サービス向上で成果

AI・テクノロジー・DX

職員リテラシー向上と生成AI活用で大幅な業務削減

奈良市は、全国に先駆けてAI専門部署「AI活用推進課」を令和7年4月に設置してから1年を迎え、これまでの取り組みと成果を公表した。急速に進化するAI技術を行政運営に取り入れ、業務効率化と市民サービスの高度化を図る同市の試みは、自治体DXの先進事例として注目を集めている。

令和8年度からは、行財政改革を担ってきた財政課の行革推進機能を統合し、新たに「AI・行革推進課」として再編。AIとデジタルを軸にした改革を一層加速させる方針だ。

奈良市はこの1年間、全庁的なAI活用を進めるため、職員へのアンケートやヒアリングを通じて業務課題を抽出し、生成AI利活用ガイドラインの改訂や利用環境の整備を進めてきた。特に生成AIサービスの導入効果は大きく、文章作成や要約、議事録作成、国通知の読み込みなど幅広い業務で効率化が進んだ。

令和7年度下半期に約17,200時間の業務時間削減を達成したと公表した。管理職向け研修後、課長級職員の生成AI利用率は38%から74%へと大幅に上昇した。利用者数は572人、利用状況は約10億文字と公表された。

また、市公式ホームページではAIチャットボットを導入し、24時間対応の問い合わせ窓口を実現。年間換算で約46,000件の質問に応対するなど、市民サービスの利便性向上にも寄与している。

Zoom Phone

Zoom Phone導入で年額換算約5,000万円の削減 相談支援や児童福祉にもAI活用拡大

電話業務のデジタル化にも踏み込み、令和8年3月には次世代クラウド電話「Zoom Phone」を本庁と西部出張所に導入。AIによる通話要約や災害時の業務継続性向上に加え、システム入札を先行させたことでコールセンター委託費が3分の1に削減され、年間約5,000万円の経費削減につながった。

さらに、AIを活用した相談支援も拡大。子育て世代向け「おやこよりそいチャット奈良」やシニア向け「AIちゃん」など、LINEを活用した傾聴型AIの実証を進め、24時間365日寄り添う相談体制の構築を目指す。

児童相談業務ではタブレット導入により、訪問先での記録確認やAIによる要約が可能となり、職員の負担軽減と支援の質向上を図る。一時保護所では、複雑な条件を考慮するシフト作成にAIを導入し、年間117時間の作業が13時間に短縮されるなど、現場業務の効率化を図る。

奈良市は今後、機微情報を扱う業務でもAIを安全に活用できるよう、自治体専用ローカル環境やガバメントクラウドを活用した新たなインフラ整備を検証中。AIと人が協働する行政運営を目指し、窓口業務のワンストップ化や市民へのプッシュ型サービスなど、さらなる高度化を見据えている。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

奈良市 プレスリリース
https://www.city.nara.lg.jp/site/press-release/263746.html

生産性DX編集部

生産性DX編集部は、生産性向上に向けたDX活用の知見を、わかりやすく発信しています。経営や組織、働き方、テクノロジーまで幅広く取り上げ、生産性向上に取り組むすべての人に、中立的な視点で考えるきっかけや実践のヒントをお届けします。

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